2010/10/01~03 剣岳北方稜線ガイド
素晴らしい晴天に恵まれ、岩もカラカラに乾いて絶好のコンディション。
とぉこぉろぉがぁ、アクシデント発生!!九死に一生スペシャルとなった。
長次郎の頭を右から巻き、そのまま長次郎谷側をトラバース中にラストのお客様がバランスを崩して滑落。「あ~」というような叫び声を聞いて振り向いたら既に一段目に落ちていて、セカンドのお客様が一瞬身構えたがそのまま引きずり込まれ、2人ともルンゼの中に。それを見て自分も瞬間的に左手で岩にしがみつき、そして右手のロープにテンションがかかって止まった。右手がちぎれそうだったがアンザイレンしていなかったらそのまま下まで落ちてしまったかもしれない。今思い返してもぞっとする。
滑落の間は落石もひどく、ルンゼなので全部そこに集中したが、うまいこと避けてくれた。しかし後からよくよく見たらヘルメットにはくっきりと生々しい凹んだ傷があり、頭部に当たったことがわかる。
最初に落ちたお客様は足首の軽度の捻挫と膝の打撲、セカンドのお客様は腕の擦り傷程度で、湿布やテーピング、消毒などの処置で歩けるのでそのまま続行。富山県警のお世話にならずに済んだ。
しかし翌日は二股までの下りでやはり足首が痛むということで大事をとり、剣沢から別山乗越に登り返して室堂に下山するルートに変更。途中からアルペンルートの最終に間に合わないのではないかと焦りながらのなかなか苦しい下山であった。時間的に切羽詰ったのは自分が池ノ平小屋で飲み過ぎて朝寝坊して出発が遅れたのが最大の要因であったと自信をもって言える。お客様すいませーん!
←池ノ谷ガリーの下り
相変わらず最悪のところ。こういうところは慣れてないと苦労して足を使ってしまう。
池ノ平周辺の紅葉はまだ7分ほど。しかしあと2、3日冷え込みが続けばいっきに進んでベストの状態になりそうだった。
池ノ平小屋のご主人は「今年は猛暑が続いたから紅葉はいまいちかもしれない。」と言っていた。
ここの小屋はこじんまりとしてるせいか小屋の方や他のお客さんとの距離感が近く、家族的な雰囲気なのですぐに打ち解け、ついつい飲み過ぎてしまう。他の北アの立派過ぎる山小屋に比べて施設面では劣るものの、これぞ昔ながらの良き山小屋だ。
3日目の朝、雨が降ってきたので慌ててカッパを着ていたら綺麗な虹がかかった。
読んでてもスリル満点です。
良くぞ止めました。さすがです。
今年は思いがけない山の事故が多いので、ガイドさんも神経を使うのではと思います。
池ノ平小屋は個人的にどうしても一度は泊まりたい小屋です。
来年こそはお願いしたいなあ。
投稿: K | 2010年10月 4日 (月) 19:31
K様
本当に今年は身近な人が思わぬところで逝ってしまうことが多かったので「今度は俺かも」といつも緊張してます。
来年こそは北方稜線から池ノ平に行きましょう。
投稿: けんた | 2010年10月 5日 (火) 10:11
二股の近くでバッタリお会いした時は・・まさか・・の想いでした。お元気そうでしたね。小生も以来北から南へとあちこち出かけ山の魅力に嵌ってきましたがもう歳です。お会いした時の記事でしょうか?綺麗な女性をガイドするなんて羨んでいたのですが。
投稿: 白髭老 | 2010年11月 8日 (月) 09:21
白髭老様
先日はどうもでした。ほんとにビックリしました。でもお顔を見て瞬間的に思い出しました。本当は山小屋で一杯やりながらいろいろとお話ししたかったですね。
この記事はその時のガイド山行の時のものです。
いつかまた、どこかの山でお会いしましょう。
投稿: けんた | 2010年11月 8日 (月) 18:31