« 2008/03/08~09 奥秩父ガイド | メイン | 雪融け進む »

2008年3月10日 (月)

遠見尾根~村尾根ガイド

20080310_133岩岳S.Sのバックカントリーガイドツアーで村尾根に行ってきたのだが、今回は完全に自分の判断ミスであったと反省している。何事もなく下山できたから良かったが、間一髪だったと言ってよい。何やってんだ俺!って感じ。一昨日、八幡平で雪崩死亡事故が起きたが、自分も危うく新聞に載るところだった。

今朝起きたら雪が降ってたのでびっくり。しかもボトボトの湿った雪。いっきに気分が重くなる。「どうしよう。予定通り村尾根に行こうか、それともコース変更しようか。こんな雨っぽい天気だから中止した方がいいかなあ。」と集合場所に行くまで悩む。お客様3名のうち2名は前回も条件が悪くて村尾根に行けなかったので行きたそうな様子。そこでまず自分の判断がブレた。自分の心の中では中止にしようと決めていたのだが、「とりあえず上がってみましょう。そこでピット掘ったりして判断します。それほど積もってないので大丈夫でしょう。」と言ってしまっていた。

ゲレンデトップからシールで登ってドロップポイントの一ノ背髪直下に着く。雪は止み始め視界も良くなってきた。ピットを掘ってみたが問題なさそう。滑り出す。ところが左手の尾根に入ると昨日までの雪と今朝降った雪が全然なじんでおらず、強くエッジングすると表面の雪が流れる。嫌な感じ。まだそれほど滑ってなかったのでそこで勇気を持って引き返せば良かった。ここが痛恨の2回目の判断ミス。

その後再びガスが濃くなり雨模様の天気になる。複雑な地形だがなんとか正規のルートで平川に下りた。いよいよここからが危険地帯。なんとなく追い詰められたような精神状態。平川は川が出ていたのでスキーを脱いで渡渉する。対岸に渡り林道に出るところで休憩していたら我々より上流の左岸側斜面でけっこう大きな雪崩が発生。かなりヤバい感じ。休憩もそこそこに脱出を図る。常に左側の斜面を注意しながらできるだけスピーディーに移動する。この林道はいつも大なり小なりのデブリがあるのだが、案の定でき立てホヤホヤの新鮮なデブリがいくつもある。そしてついに発生したばかりの大規模なデブリに出くわす。いったいいつ発生したのだろうか。10分前なのか1時間前なのか、3時間前なのか。いずれにしてももう少し早い時間に通過していたら巻き込まれたかもしれない。ここを通過しなければ帰れない。スキーを脱いで焦って通過しようとするのだが、1m四方の大きな雪の塊がゴロゴロあってとても歩きにくい。ここを突破し、崩沢を通過し終えた時は正直ホッとした。

村尾根は一昨年の4月に雪崩事故(2名死亡、3名負傷)が発生している。自分も何回か行っているが、平川に出てからがいつも嫌だ。間違いなく危ないオーラが出ていて陰惨な雰囲気がある。このコースはよっぽど良い条件が揃ってないと行ってはいけない。前回は気温急上昇の予報だったため中止して「的確な判断だった。」と自負していたのに、今回はなぜ踏みとどまれなかったのだろう。こういう時はお客様の感情に左右されず、心を鬼にして判断しなければならないと肝に銘じた。

コメント

コメントを投稿