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2011年8月21日 (日)

2011/08/18~20 栂池~白馬岳~蓮華温泉ガイド

20110818012 こっち方面の山は冬のB.C以来。ましてや夏は久しぶり。
秋雨前線が南下中で、昼頃からこの辺にさしかかるような予報。出発時はまだ曇りだったが、登るにつれ時折霧雨が降るようになってきた。そしてこの日は雷がくる確率が高かったので、出発の時から「早く行かなきゃ」という心理状態になっていたと思う。しかしそこでペースを早めようもんなら途端にお客様の息が上がり、バテバテになりかねないのでいつものようにゆっくりゆっくり歩く。

20110818014 白馬大池のハクサンコザクラはまだ咲いていた。
霧雨が降ったりパーっと明るくなって陽射しが出たりを繰り返していたが、船越ノ頭を越え小蓮華岳を通過する頃ついに雷鳴が轟いた。雨も止むことがなくなり、「雷が近づいてきたらどこに避難しようか」を常に気にしながら進む。お客様には申し訳ないが、少しペースを早め、休憩の頻度も少なくして急いでもらう。
三国境から白馬岳頂上への最後の登りにさしかかる頃からは冷たい雨が本降りになり、「頼むから雷さん近づいてこないでくれ!もうちょっと待ってて!」と念じながら登る。皆夜行の寝不足も重なってかなり辛そうだったが、なんとか無事頂上に立ち、白馬山荘に転がり込む。

過去何度か雷では危険な目に遭っているので今回も少し早く歩いてもらったが、途端に「今日苦しかったのはペースが速かったからじゃ。」と文句が来る。皆の安全のためにペースを早めたのだが、なかなか理解してもらえない。場合によっては早く歩かないといけない時もあるのである。ヨーロッパなどでは【スピード=安全】という概念が確立されてるようだが、日本ではまだまだである。

夜行で来ていきなり標高1500mぐらいのところからスタートしてその日のうちに3000m級の山まで登るという日程の組み方も問題あるだろうが、基本的に体力不足の方が多いように思う。特に中高年層。高齢になればなるほど日頃のトレーニングが大事になってくると思うのだが、聞くと「山に登るのは3ヶ月ぶり。北アルプスは今シーズン初めて。」とかいう方がけっこういる。完全にナメてる。週に1回、近場の山でも行ければ最高だが、それができなければせめて1ヶ月に1回は山に行き、そして日頃は歩いたり走ったりというトレーニングが必要ではなかろうか。それもただ歩くだけではだめで、早く歩いたり重い荷物を背負ったり階段を上り下りしたりして心拍数を上げなければ効果が上がらない。地味だがヒンズースクワットなどで膝の廻りの筋肉を強化したり、近場の山に行く時はタイムを決めて登ったり、ペットボトルの水をたくさん入れてザックを重くしたりといった地道な努力が必要ではなかろうか。

先日のジャンダルムに参加されたお客様の一人は、きちんとトレーニングして準備して体調を整えてきたので歩きに余裕があり、技術力を要する岩場などでも余裕が出て、その結果安全につながっていた。体力があれば多少の技術不足を補うことができる部分も多いと思う。

昔から登山は「一に体力、二に体力、三に技術、四に装備」と言われてきた。昔取った杵柄は効かない。昔のイメージだけで山に行けば事故る。今現在の自分の体力、精神力を冷静に見極め、それに合った登山をしないと事故る。

ちょっとストイック的だが、最近のファション優先の軽いノリでやってくる若い人達や、相変わらず多い中高年層の事故に対し警鐘を鳴らす意味で書かせてもらった。
独断と偏見もあるだろうが、所詮「登山はつまるところ個人の趣味である」ということでお許し願いたい。

20110818016 ちなみに白馬山荘に泊った翌日以降は雪倉岳~朝日小屋泊、朝日岳~五輪尾根~蓮華温泉下山という予定だったが、悪天候のため朝日岳方面は中止して白馬大池から直接蓮華温泉に下って泊り、ゆっくりと温泉三昧してきた。
蓮華温泉はいつも4月上旬にバックカントリーツアーで来るのだが、周囲の様子や雰囲気がまるっきり違うのでびっくりする。

コメント

本当にお疲れさまですね。
個人的には、水越さんは水越さんの道を行けば良いというか
苦情もあるでしょうけどそれはその人の安全のためでもあるので
時にはガツンと言ってもよいのではないですかね。
水越さんの書いた通りと、おおいに賛同いたします。
そもそもこのコース、昨年一人で歩きましたけど、シーズン初めての北アで歩くような簡単なところじゃないし、朝日小屋のご主人もさりげなくスピードの遅いお客にカツを入れてましたしね。
(朝日小屋に来るなら体力つけてコースタイムで歩けるようにしてから来い!と)
長いシーズンいろいろあるでしょうけど、常連組は応援しているので頑張ってください。

K様
本当にガツンと言わなきゃならない時は言ってます。今回はそこまで切羽詰ってなかったので厳しいことは言わなかったですけど。
その場の雰囲気とか相手だとか、いろいろあるんです。
朝日岳に行くコースは「お花が綺麗」というイメージばかりが強く、実はけっこうきついというのはほとんどの人がわかってないようですね。

山をよく知る案内人の言うことを聞くのは当然ですよ!危険回避にペースを上げても命を守る為なんだから、仕方ないことですね。文句を言える余力があったなら足腰鍛えるように頑張ってほしいですね!

naomi様
まあほとんどの方は理解してくれてると思います。
たまたまその日調子が悪くて辛かったのをガイドに当ったりする方が稀にいるぐらいです。
天気が悪いのをガイドのせいにされるのは困りますが。

するどい指摘心臓にぐさりです、でもよく解りますよ、歳をとるほど日々の訓練は大事と思います。水越さんの思いが伝わらなかったのは山に登る仲間として本当に残念です、歩くにはいい季節になりつつあります。頑張って歩きます

やまちゃん様
ご理解ありがとうございます。
天候不順のこの頃、どうぞお気をつけて登山して下さい。

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