飛石連休だったが相変わらず室堂~立山周辺は初滑りの人達で大混雑。雷鳥荘なども満室だった。
初日は素晴らしい天気。しかししばらく降雪がなかったためどの斜面もトラックが刻まれ、加えて気温が高めだったので雪が緩み、春の岩岳スキー場みたいだった。
2日目は荒天のため数本滑っただけでほとんど雷鳥荘で停滞。
3日目も天気は期待してなかったのだが、朝起きたら意外といい。前日からの降雪で斜面が少しリセットされたのでノートラックのいい斜面を狙ってハイクアップするものの、ガスがなかなか抜けない。だいぶ待ったのだが時間切れのため仕方なくガスの中を滑る。斜度とか凹凸とか自分のスピードがわからず、会心の滑りができないまま立山祭りは終了となった。
1日目 上州武尊山
史上最悪の泥んこ道。登山道の最初から最後までほとんど田んぼのような泥沼。靴は泥の中に完全埋没し、パンツの裾は限りなく汚れ、笹に付いた泥が跳ね上がって顔に付き、それをぬぐった手も汚れる。
天気も紅葉もまあまあだったが、泥んこ道のため精神的に疲れた。
2日目 赤城山
赤城山の中で一番標高の高い黒檜山と隣の駒ケ岳に登る。
前日の泥んこ道で疲れた体にはやさしいリハビリ的な山だった。
3日目 巻機山
この山は八合目まで登らないとその良さがわからないのだが、その八合目までが長い。ニセ巻機山まで来ると目の前になんともたおやかな山容が広がり癒される。会津駒ケ岳と雰囲気が似てる。朝方まで降ってた雨でまたもや所々泥んこ道。
中腹の紅葉がなかなか見事。
4日目 苗場山
夜中に雨が降ったようで、またまた登山道は泥んこ。どうも新潟とか群馬の方の山は水はけが悪くて湿っぽいなあ。
お客さんも一番楽しみにしてた苗場山は山頂に着く頃にはガスに包まれ、その広々とした頂上の大地がいまいち見れなかった。残念。
泥んこに悩まされ続けた4日間に渡る群馬新潟シリーズ終了。
今回のお客様はなんと82歳。まだ現役バリバリで社長を務められてる。
江戸時代創業で今自分が5代目社長であるという商売の話しや、戦争の時の貴重なお話しなどを聞きながら、ゆっくりゆっくりと柏原新道を登っていく。中腹では見事な紅葉。途中からガスがかかってきてしまい、残念ながら展望は望めなかった。
翌日の天候が悪そうだったので種池山荘に到着後、爺ケ岳南峰まで行ってくる。途中、羽が少し白くなってきた雷鳥がバタバタと何羽か飛んでいた。
他に誰もいない、とても静かな頂上を踏む。夕方近くで気温が下がってきたのでそそくさと山荘に戻り乾杯。お客様もけっこう飲む。缶ビールと熱燗2本をあっという間に飲んでしまった。自分の方が飲むペースが遅いぐらいで、「あんたもっと飲みなさいよ。」と怒られてしまった。
冷池山荘にも泊まって鹿島槍まで行く予定だったが、翌日は朝から雨模様の濃いガスと風。そして気温も低いので鹿島槍に行くのは中止して再び柏原新道をゆっくりゆっくり下りていく。
若い頃に山を登っていたが忙しくてずっと中断したままだったのが、80歳になって「剣岳 点の記」を読んでまた山に登りたくなったというお客様。何事にも常に前向きな姿勢は自分も見習いたい。
素晴らしい晴天に恵まれ、岩もカラカラに乾いて絶好のコンディション。
とぉこぉろぉがぁ、アクシデント発生!!九死に一生スペシャルとなった。
長次郎の頭を右から巻き、そのまま長次郎谷側をトラバース中にラストのお客様がバランスを崩して滑落。「あ~」というような叫び声を聞いて振り向いたら既に一段目に落ちていて、セカンドのお客様が一瞬身構えたがそのまま引きずり込まれ、2人ともルンゼの中に。それを見て自分も瞬間的に左手で岩にしがみつき、そして右手のロープにテンションがかかって止まった。右手がちぎれそうだったがアンザイレンしていなかったらそのまま下まで落ちてしまったかもしれない。今思い返してもぞっとする。
滑落の間は落石もひどく、ルンゼなので全部そこに集中したが、うまいこと避けてくれた。しかし後からよくよく見たらヘルメットにはくっきりと生々しい凹んだ傷があり、頭部に当たったことがわかる。
最初に落ちたお客様は足首の軽度の捻挫と膝の打撲、セカンドのお客様は腕の擦り傷程度で、湿布やテーピング、消毒などの処置で歩けるのでそのまま続行。富山県警のお世話にならずに済んだ。
しかし翌日は二股までの下りでやはり足首が痛むということで大事をとり、剣沢から別山乗越に登り返して室堂に下山するルートに変更。途中からアルペンルートの最終に間に合わないのではないかと焦りながらのなかなか苦しい下山であった。時間的に切羽詰ったのは自分が池ノ平小屋で飲み過ぎて朝寝坊して出発が遅れたのが最大の要因であったと自信をもって言える。お客様すいませーん!
←池ノ谷ガリーの下り
相変わらず最悪のところ。こういうところは慣れてないと苦労して足を使ってしまう。
池ノ平周辺の紅葉はまだ7分ほど。しかしあと2、3日冷え込みが続けばいっきに進んでベストの状態になりそうだった。
池ノ平小屋のご主人は「今年は猛暑が続いたから紅葉はいまいちかもしれない。」と言っていた。
ここの小屋はこじんまりとしてるせいか小屋の方や他のお客さんとの距離感が近く、家族的な雰囲気なのですぐに打ち解け、ついつい飲み過ぎてしまう。他の北アの立派過ぎる山小屋に比べて施設面では劣るものの、これぞ昔ながらの良き山小屋だ。
3日目の朝、雨が降ってきたので慌ててカッパを着ていたら綺麗な虹がかかった。
2週連チャンで剣。
俺の庭。真っ暗な中登ってもへっちゃらです。
お客様は剣というとどうしてもイメージだけが先行してしまい、特にタテバイやヨコバイといった鎖場の難所だけがクローズアップされる。しかし剣において一番気をつけなければならないのは前剣からの下りである。ここは相変わらず岩が脆く、ほとんどの岩が浮いてるような状態。しかも急斜面。ここでの転倒・滑落と落石には十分注意しなければならない。
今回、我々のお客様の一人が頭ぐらいの大きさの岩を落としてしまい、ちょっとヒヤっとした場面があった。登頂した後で気が緩み勝ちの上、疲れが出てくる時間帯。前日のミーティングでもさんざん言ったのだが、現場でももうちょっと声掛けして緊張感を促すようにすれば良かったと反省している。